目次
- 実績
- 構築経緯
- 個体解説
- 選出
- 後書き
【1. 実績】
PJCS2019 46th(WCS2019 Day1権利獲得)
予選スイス 4-3 ×××◯◯◯◯
【2. 構築経緯】
自身初のPJCS本戦は思い入れがある伝説ポケモンを使って勝ちたいと思ったのでいつものように伝説枠はグラードン+ゼルネアスでまず考え始めました。
PJCS本戦は予選Bo1のスイスドロー、本戦トーナメントはBo3で行われるため、Bo3を視野に入れた個体性能が高くサイクル戦ができて様々な構築相手に柔軟に対応できる構築を選ぶべきであると考え、まず有名なBIG-F の並びから構築を組むことにしました。
BIG-F構築は4月のPJCS予選でも使用していましたがとても対応力が高い並びで、考察不足、練習不足を加味してもボーダー間近まで行けており、型や技構成を考え直すことでさらに上を目指せると思ったので4月の構築の弱点を潰すように意識しながら構築を作成するようにしました。
構築の弱点① 特殊グラードンが弱すぎる
グラゼルネ構築のグラードンは特殊型が主流なようですが、big6系統中心だったかつての環境とは異なり、X-Rayやオーガレックといった構築がtier1に存在して天候維持の厳しさと相手の禁伝枠との相性の悪さ、またカプ・レヒレやガオガエンといった使用率の高い一般枠ポケモンに炎技が通らないこともあって特殊グラードンが火力を叩き出せる場面はかなり限局されると感じました。
カプ・レヒレ(光の壁持っているともはや絶望的)やチョッキガオガエンの処理能力に関してはもはや目も当てられないほど酷く、特にカプ・レヒレなんかはこいつを倒せないと実質相手のポケモン全部倒せないみたいなことになるのでグラードンを使用するなら環境からして物理型以外あり得ないと思いました。こうして特殊型ではなく物理型のグラードンを採用することにしました。
構築の弱点② X-Ray構築に対して構築相性面で不利を取ってしまう
これまでのBIG-F構築は自分が4月に組んだものも同様にゼルネアスの対策を黒い霧や吠えるといった気まずい対処法に頼りきっており、対ゼルネアス性能の低さに頭を悩まされていました。
ただでさえゼルネアスに気まずい対策を取らねばならない上に、こちらのゼルネアスだけを通して相手のメガレックウザを押さえつけなければならないX-Ray構築相手は相当不利なマッチングと言えて、相手がクリアスモッグ持ちのウツロイドなどを採用している場合は本当に勝つのはほぼ無理だと思いました。
X-Ray構築に対してはS操作を絡めて上から禁止伝説を大きく削れる状況を作っていくといった対処が必要であると考え、また苦手だったBIG-Fミラーを攻略する上でも物理グラードンをできるだけ有効に扱う必要があるため新たにトリックルームを使用できるポケモンを採用して構築内にスイッチトリルの形を取り入れることにしました。
構築の弱点③ 対トリックルーム性能の低さ
対トリックルーム性能が低いと感じたのは、ツンデツンデにまともなダメージを与えられるのがグラードン以外にいなかったというように主なトリックルーム要員に対する有効打点が限られていたことにあると思いました。
こうした問題はガオガエンを耐久重視のちまちま蜻蛉返りやる型からガオガエンZやけたぐりを打って攻撃に参加可能な型へ変えることである程度対応できるようになると思いガオガエンのZ型での採用に踏み切りました。
ガオガエンを攻撃的な型で採用することでtier1であるBIG-F系統、X-Ray、オーガレックに強く立ち回ることができるグラネクロなどのtier1ではないが警戒せねばならない並びに対してより立ち回りの幅を利かせることが可能だとも考えました。
ガオガエンを攻撃的な型で採用してトリックルーム要員を倒せるルートを広げるのも重要ですが、トリックルームをさせない、トリックルームをされてしまっても耐え凌げるようにするのも重要だと考え、「吠える」ボーマンダを採用し、ゼルネアスは耐久ベースのものを使用。ガオガエンの蜻蛉返りより後に行動して安全に癒しの波動ができ、トリックルーム下でも味方の場持ちを良くしてくれる最遅カプ・レヒレも採用しました。
4月の段階で構築したBIG-Fの5匹ではクロバオーガレックやゲンガーオーガタクンなどのカイオーガ構築に対しての不安があったので6枠目を埋めた状態でメジャーなカイオーガ構築と戦えるようになっている必要があると思いました。
ここで1度ここまで考えた既存メンバーの対カイオーガ構築の性能に目を向けてみると、ゲンガーやドータクンに強いZガオガエン、クロバットやカイオーガを大きく削る打点があり強引なトリックルーム阻止も可能な吠えるボーマンダ、引き先として優秀で癒しの波動により強引なゼルネアスの積みを可能にするカプ・レヒレ、言わずもがな天候書き換えができて一般枠の多くに強いグラードンなどカイオーガ構築に対抗するためのパーツは既にそれなりに揃っており対カイオーガ構築で残す課題はクロバオーガレックのみであると判断しました。
ここまで考えた結果、6匹目に欲しい要素を整理していくとトリックルームを覚えてゼルネアスやレックウザなどに強いこと、グラードンの前に出してもトリックルームを張れること、クロバオーガレックに対して対抗駒になれることであり、これを全て満たせるのはミミッキュなのではないかと考えました。
そして実際に試してみると思った以上にミミッキュは使い勝手が良く、構築に欲しかった要素を見事に埋め合わせてくれる1匹であるとわかりました。
以上によりBIG-F構築に対して自分が弱いと感じていた要素がほぼなくなり、特に厳しさを感じていたX-RayやBIG-Fミラーに強く、クロバオーガレックにも対抗できる構成にすることができたと思えたため、BIG-Fにミミッキュを加えてスイッチトリル要素を取り入れたBIG-F+Mimikyu の形で構築を完成としました。
【3. 個体解説】
グラードン@紅色の玉
意地っ張り / 207-234-181-×-125-115
特性: 終わりの大地
技: 断崖の劔 / 炎のパンチ / 剣の舞 / 守る
配分: H252 A100 B4 D116 S36
特殊型が弱い環境からして補完にとどまらず禁伝らしいパワーを発揮してもらうために物理型で採用。
断崖の劔、炎のパンチといった物理型のメインウェポンに加えて、守るを誘うS操作と相性が良く、命中不安を背負うリスクに対して相応のリターンを得られるようになる剣の舞を採用。
特殊グラードンの場合は構築からゼルネアスに明確に強いポケモンがいなくなるのでゼルネアスがキツくなりますが、物理グラードンの場合グラードンがゼルネアスと殴り合えることからゼルネアスに対して厚くなり、トリックルームや剣の舞まで合わせると寧ろこちらに分があります。
Sは環境に存在するメガメタグロスの素早さは最速ウツロイド抜きの171、あるいはそれ以下が多いと考え、 S-1状態で追い抜ける115にしました。
調整先
A: 217-140ゼルネアス 晴れ炎のパンチ2発(255/256)
D:
・C222ゲンシグラードン 大地の力耐え(13/16)
・C187ゼルネアス C+2ムーンフォース+マジカルシャイン耐え
・C183イベルタル 悪の波動Z耐え(15/16)
S: S-1最速ウツロイド抜き+1
ゼルネアス@パワフルハーブ
控えめ / 230-×-131-174-127-123
特性: フェアリーオーラ
技: ムーンフォース / マジカルシャイン / ジオコントロール / 守る
配分: H228 B124 C60 D68 S28
かなりbulkがあるゼルネアス。主にメガレックウザの影響の大きさから耐久のない最速ゼルネアスは淘汰されたため、耐久ゼルネアス同士の素早さ134付近の不毛な素早さチキンレースが起こると予想しました。
しかし、この構築は基本的に相手のゼルネアスとの積み合いを避けて戦うため134よりも素早さを振るメリットがほぼなく、ジオコントロールせずに戦う必要もあることを考えると物理方面、特殊方面ともに耐久に厚くしておきたいことから、最低限の素早さ、火力を持った非常に硬いゼルネアスを使うのが強いという結論に至りました。
調整先
B:
・A255メガレックウザ 鉢巻ガリョウテンセイ耐え(15/16)
・A255ゲンシグラードン 断崖の劔2耐え(250/256)
D:
・C219ウルトラネクロズマ ウルネクZ耐え
・C176ゼルネアス ムーンフォース2耐え(250/256)
S: S-1最速メガレックウザ 抜き
せっかち / 171-185-135-152-111-189
特性: 威嚇→スカイスキン
技: 捨て身タックル / ハイパーボイス / 追い風 / 吠える
配分: H4 A156 C92 D4 S252
スカイスキンの補正が弱体化してC252振る利点も特になくなっていたので、AとCに振り分けてあります。
捨て身タックルもハイパーボイスも追い風も切り難いのでボーマンダミラーやメガレックウザに刺さる流星群は採用見送り。守るを切って吠えるを採用したのは、メガボーマンダが守りたい盤面があると言えばありますが、ドータクンなどのトリックルームを阻止したり、メガゲンガーの影踏みを解除して盤面の立て直しを図ったりと構築内に吠えるを入れておくと何かと便利で、守るを採用するよりも吠えるを採用することによって拾える勝ちの方が多いと思ったからです。
ボーマンダの吠えるでゼルネアスのジオコントロールを対策するようなことは極力したくありませんが、余りにも盤面が悲報であった場合やジオコントロールされるのが見えている場合はゼルネアスに吠えることも視野に入ります。
調整先
A:
・捨て身タックル+A-1捨て身タックルで176-138カプ・レヒレ きのみ圏外で2発
・217-140ゼルネアス 捨て身タックルで2発(255/256)
S: 最速
カプ・レヒレ@ウイの実
生意気 / 176-×-138-115-199-81
特性: ミストメイカー
技: 凍える風 / 癒しの波動 / 光の壁 / リフレクター
配分: H244 B20 D244
カプ・レヒレは素早さを振るよりも最遅を取った方がメリットが多いということに気がついたので最遅で採用。
①自分のガオガエンより遅いのでガオガエンの蜻蛉返りから繰り出すことで癒しの波動を安全に後続に当てれる、②相手のガオガエンよりも遅い場合は後続に凍える風が入る、③S-1のゼルネアスよりも遅いのでS-1状態のゼルネアスがジオコントロールしてきても下から黒い霧ができる、④トリックルーム下で最遅グラカイより先に動いてサポートをこなせる、といったように多くのメリットがあります。
パーティーの実質的な耐久値を大きく引き伸ばし、手軽な催眠耐性、窮屈な立ち回りを強いられてしまうテテフ入りからフィールドを奪ったりできたりとサポーターとして優れています。
技はS操作のできる凍える風とレヒレが使える技としては最もアドバンテージが大きく、レヒレの放置を許さない癒しの波動を採用。残りは黒い霧、自然の怒り、リフレクター、光の壁あたりから選択ですが、ルナアーラやテテツー、テテフネクロ等がキツく感じたのとカイオーガ構築などに安定するということで光の壁をまず採用。
最後の技は元は黒い霧でしたが、ゼルネアス構築にミミッキュを出すことが多く使用頻度が低かったので、グラードン構築に役割を発揮でき、カイオーガ+ツンデツンデなどの並びも1回威嚇入れれば壁+ジオコンゼルネで受け切れることがわかったのでPJCS3日前にリフレクターに変更しました。
結果論ですがゼルネアスの攻撃を受けて黒い霧打つのを想定しないならもう少しBに厚くしてよかった(例えばソルガレオZ耐えなど)ですし、トリックルーム構築へのメタカードとして扱うことが多く、凍える風からの展開を使用する頻度の問題で凍える風よりも置き物防止になる自然の怒りの方が強かったです。相手のトリックルームにタダ乗りして最速で自然の怒りを打っていくこともできますし、自分でトリックルーム張って自然の怒りや壁張り、癒しの波動を押すのも強かったので最良の型に至るのが遅かったです。
調整先
H: 4n
B: A232メガレックウザ 珠ガリョウテンセイ耐え(15/16)
D: C147カプ・コケコ 10万ボルトZ耐え
S: 最遅
意地っ張り / 185-174-111-×-115-101
特性: 威嚇
技: DDラリアット / けたぐり / 猫騙し / 蜻蛉返り
配分: H116 A188 B4 D36 S164
役割対象を考えると意地っ張り以外ありえないとなったので意地っ張りで採用。
追い風下でゲンガーと対面することが結構あることと、ガオガエンのS関係をはっきりしておきたかったため追い風下で最速メガゲンガー抜きまで素早さを上げました。トリックルームに寄せ切った構築は環境に少なく、最遅グラカイ自体があまり見ないため最遅グラカイよりも速いということ自体にはそれほど弊害はなかったと思います。
技は構築経緯でも書いたようにトリックルーム要員の処理ルートの一部分を担っているのでDDラリアットとけたぐりは確定。蜻蛉返りと一致打点のフレアドライブどちらを外すかの問題でしたが鋼にはDDラリアット(Z)、けたぐりで打点は取れており、フレアドライブは主に等倍で殴る技になると思いました。単純に蜻蛉返りのないガオガエンが扱いにくいのと、ガオガエンのフレアドライブで打点を稼ぐ必要がある場面よりも蜻蛉返りを選びたい場面(特にゲンガー相手の時)の方が圧倒的に多いので最後の枠は蜻蛉返りになりました。
調整先
A:
・213-109ルナアーラ A-1ガオガエンZでFG込み確定
B:
・A255ゲンシグラードン A-1断崖の劔耐え
D: C219ウルトラネクロズマ 大地の力確定耐え
S: 追い風下最速メガゲンガー 抜き
勇敢 / 162-154-103-×-125-104
特性: 化けの皮
技: じゃれつく / 剣の舞 / トリックルーム / 道連れ
配分: H252 A236 B20
新しく採用したトリックルーム要員。化けの皮を活かしてトリックルームしたり、剣の舞を積んだり、ミミッキュZを当てにいきます。
X-Ray、ミラーに対してはグラードン以外にミミッキュZの通りが良く、ボーマンダと合わせることで初手の選択肢を広く確保することができる、トリックルームを張って味方のグラードンと並べば地面、炎、フェアリーの優秀な範囲で攻撃できるとかなり強かったです。
クロバオーガレックに対してはクロバットがミミッキュの皮を剥がせないのでカイオーガやレックウザにミミッキュZを当てやすく、カイオーガとレックウザさえ倒せば相手はグラードンで詰むのでプラン立てもしやすくなったと思います。
技についてメインウェポンのじゃれつく、採用理由のトリックルームは確定、化けの皮やS操作と高相性で確定取れる範囲を広げられて強いと思った剣の舞も採用しました。ウェポンはじゃれつく以外ほぼ打たないと思ったので最後に1:1交換できたり、擬似的な行動保証を作れて強そうな道連れを採用しました。この采配が正解で追い風下やトリックルーム下で先制で道連れを使うことによって1:1交換を強いたり、化けの皮が剥げても擬似的な行動保証を作り出すことによって追い風→トリル、トリル→トリルといったようなS操作の繋ぎを相手に許させることになり非常に嫌らしく活躍してくれました。
調整先
A:
・171-135メガボーマンダA+1じゃれつくで確定
・217-140ゼルネアス A+1ミミッキュZで確定
S: 無振りレヒレ-1
【4. 選出】
vs BIG-F系統
非トリパ
トリパ
非トリパに対しては基本的にマンダミミッキュから入り、グラ引きトリル、追い風剣舞など様々な形で展開します。トリパに対しては相手のゼルネもトリックルームも有効に活用させないことが重要であるためレヒレは選出。
vs グラゼルネゲンガー
海外の強いプレイヤーに滅び選出で嵌められたので滅び選出で来ることを前提として書きます。初手ゲンガーランドの場合相手が取る選択肢はランドロス地面Z、ゲンガー身代わりなのでランドロスにガオガエンで猫、ボーマンダで追い風を選択。次ターン、ゲンガー守りながらランドロスをガオガエンに交代してくるので(ランドロス方向にハイボZ集中してもゲンガー方向に捨て身Zしても相手は困るので)ランドロス方向に蜻蛉返り、ボーマンダはハイパーボイス、適宜グラードンとかを出しながら適当なタイミングで吠えて滅びでの壊滅を回避しましょう。
vs X-Ray
基本
ウツロイド入り
レヒレを倒すまではトリックルームは極力しないように戦っていきます。S操作に乏しくなりがちな構築であるところを突いてS操作で上を取り続けるか一方的にジオコンゼルネを動かし続けるかで勝ち。構築相性的に圧倒的に不利だったのがミミッキュの加入によりかなり勝てるようになったと思います。
ウツロイド入りはマンダミミッキュ投げした時にガエンウツロ対面だと出し負けてるのでグラマンダで投げて追い風か断崖どっちかが通るようにするのが良いと思います。グラ方向猫、ウツロイドでグラに岩Z、次ターン守りながらレック引きで神速で倒しに来られるとかなりまずいのでグラ守りながら追い風します。相手視点マンダを倒したり猫打ちに行っても不利になるだけなので1番強い択が集中ということになり、こちらはそれを読んでの守る追い風が1番強い択になると思います。
vs オーガレッククロバガエン
ミミッキュが鍵です。クロバットから打点がないため相手が化けの皮剥いで倒すに至るまでそこそこ苦戦します。無事に処理できることはまずないと思います。カイオーガに上から水技連打させないように立ち回ることを意識します。
vs オーガレックガエンタクン
全力でゼルネアス介護すれば勝てるのでゼルネアスを通し切ることだけ考えます。トリックルームされたらレヒレで壁張ってゼルネアスに癒しの波動撃ち続けて凌ぎます。ドータクンさえ処理できれば勝ちは近いはずです。
vs ゲンガエンオーガタクン
ボーマンダの追い風からZガオガエン、グラードンで制圧を目指します。ボーマンダの吠えるで無理矢理トリックルーム阻止したり、相手の交代をきちんと読んで行動することが重要だと思います。ゲンガーいるせいでレヒレでトリックルーム凌ぐのは厳しいと思うのでトリックルームさせないように立ち回りましょう。
【5. 後書き】
0-3スタートでおまけに明らかに運が悪かったので絶望していましたが、負けたら終わりの地下トーナメントに突入してから流れに乗り4連勝で持ち返しました。
場に飲まれて普段できることができてないと思いましたし、トーナメント進出できなかったのは素直に力不足です。夜中に迷惑メールの通知音で起こされてから全く眠れず、体調悪かったのでその辺のケアもしておくべきでした。
お金が足りなすぎるので世界大会へは行きませんが、2020年ルールも予選抜けてまた全国大会に来ようと思っています。