目次
1.実績
2.構築経緯
3.個体解説
4.後書き
【1.実績】
INC November 最終 1849(27-2)国内3位(全体8位)
TN くにきだ。
1日目 1605(8-1)◯◯◯◯×◯◯◯◯
2日目 1758(11-0)◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
3日目 1849(8-1)×◯◯◯◯◯◯◯◯
ここから1797に勝利しました。
負け1試合は1600のアメリカ人相手でありえないぐらい運が悪かっただけ、もう1試合は1700↑の日本人でエンニュートのアンコールを考慮しておらずとても効果的な盤面で打たれてしまったので仕方なかった負けでした。これ以外に関しては勝つべき試合に全部勝てて運勝ちはなかったので自分の努力の成果が出てくれたかなと思います。
【2.構築経緯】
メガシンカ、Z、ゲンシカイキの存在しないサンシリーズにおいてはカイオーガ、並びにゼルネアスは他を圧倒する攻撃性能を誇っており、また一般枠のパワーがやや不十分で伝説枠の依存度が非常に高かったこのルールでは伝説枠でパワー負けするということは即ち構築単位でパワー負けすることになっていたためカイオーガかゼルネアス、またはその両方を採用するのがパワーの高い構築を組む基本的な考え方ではありました。
カイオーガは当時ガオガエンを抜いて使用率1位に君臨する時期もあるほど強力で、それを中心に据えた構築もかなり多かったのですが、カイオーガ構築同士のミラーで相手のカイオーガの雨下水技を受ける前提の立ち回りが私には感覚的にしっくりこなかったのでカイオーガではなくゼルネアスを中心に据えた構築を組もうと考えました。
ゼルネアスを採用する構築として当時メジャーであったものとしてグラゼルネ、オーガゼルネがあり、オーガゼルネは「しょうもな6」
とまで呼ばれるほどの完結した並びが存在していましたが、前述の理由とさらにはミラーでの解答が用意しづらく練習によって解決するといった方法も取れないと感じたので、ゼルネアスと攻撃面で補完が取れており、さらには天候を書き換えることで最メジャーであるカイオーガ構築へ雨下以外での立ち回りを可能にするグラードンを相棒に選びました。
グラゼルネの当時有名であった並びとして
があったのでまずはその構築をたたき台として試したのですがその結果、
・S操作がないためもともとの素早さで負けている高圧的な並びに対して非常に弱い。
・トリックルームに対しての解答がなく凌ぎきるのが難しい。
・相手のフシギバナがどうしようもなくきつい。防塵ゴーグルヒードランで対処しようにもミラーが起きることもあり不十分。
・カイオーガ構築に選出しやすくてカイオーガに対して受けだしが効くポケモンの不足。
・しょうもな6に勝てない。
という問題を抱えていることが分かりました。
逆に良いと思ったこととしては、
・チョッキカミツルギの伝説並の勝ち筋形成力(主に対カイオーガ構築)
・炎枠2枚による相手の草、鋼タイプへの対応のしやすさ。晴れ補正の乗った炎アタッカーのグラードンミラー、無天候構築への強さ。
(この考え方は後のムーンシリーズで猛威を振るうウルガモスやリザードンの入ったグラゼルネへとつながっていたりする非常に重要な気づき。)
がありました。
元の構築の問題点を修正し、良い点を残せば自分に合ったベストなグラゼルネが組めるだろうと思ったので
の4匹を確定枠として残りの2匹をそれに沿って選定することにしました。
まずはトリックルームへの対抗策、カイオーガ構築への選出のしやすさと、受け出しの効きやすさからモロバレルの採用は容易に決まりました。ゼルネアスとはそのサポート、グラードンとは引き先にしやすいという点で双方と高相性で、しょうもな6へ勝てるようにする駒でもありました。レヒレがいない環境のモロバレルはかなり凶悪な性能を持っていたので信用度は十分過ぎるほどありました。
最後の1枠としてはフシギバナに対してかける圧力の高さ、グラゼルネミラーでの強さ、素早さ操作の保証力、炎打点の確保からファイアローを採用しました。
この6匹だとクロバットがそれなりに重いのですが、環境にいるゼルネアス入り構築で一番メジャーなのがクロバットに強いトルネロスのいるしょうもな6であることからそこまで多くないと見てクロバットの高速処理は重視しませんでした。
【3.個体解説】
グラードン@やわらかいすな
意地っ張り/207- 221-160-×-110-112
特性:日照り
技:断崖の劔 / 地団駄 / 岩石封じ / 守る
配分: H252 A244 S12
役割対象に対して地団駄で確実に役割を発揮したかったことや、サイクルに特化した並びでもなく対面圧力を重視して良いと思ったことから持ち物にやわらかいすなを選択。元となった構築が命の珠で採用していたのもあり、拘らない火力強化アイテムであるやわらかいすなはかなり手になじむ感じがありました。
天候を取って有利盤面で断崖をぶっぱなしたり、ガオガエンを破壊して相手のサイクルを先に崩すポケモンです。
最大のダメージソースとして断崖の劔、ガオガエンやツンデツンデへ確実に役割を果たせる地団駄、ホウオウ対策として岩石封じ、トリックルームや追い風のターンを稼ぐ守るで技は完結していました。炎打点はガオガエンとファイアローが持っています。
ゼルネアス@パワフルハーブ
控えめ/ 233-×-126-174-129-123
特性: フェアリーオーラ
技: ムーンフォース / マジカルシャイン / ジオコントロール / 守る
配分: H252 B84 C60 D84 S28
特筆することもない最強の鹿です。
ゼルネアスの積み合いで勝負が決まる試合の発生はほぼないのと、構築のエースが簡単に削られてほしくないため耐久重視の配分です。
サンシリーズのカイオーガはスカーフかトリックルーム軸しかいなかったので特性発動順で持ち物を判別するにしてもこの程度の素早さで特に問題はなかったです。(ムーンシリーズは水Z型がいるので準速以上は欲しい)
調整先
B: A233カミツルギA-1スマートホーン確定2耐え
C: C222カイオーガの雨潮吹き耐え調整までC+2ムーンフォースで高乱数1発取れる程度(90%前後)
D: C183ゼルネアスのムーンフォース高乱数2耐え(93.4%)
S: 準速70属抜き、S+1で準速130属、最速110属抜き
ファイアロー@命の珠
意地っ張り/ 155-140-95-×-90-178
特性: 疾風の翼
技:フレアドライブ / ブレイブバード / 追い風 / 挑発
配分 H12 A212 B28 D4 S252
カミツルギやソルガレオなど素早さが高く、グラードンでの対処にやや難がある鋼タイプや、フシギバナなどグラードン入りで苦戦することの多い草枠に対抗するために用意した追い風起動役です。
盤面を整えながらゼルネアスを介護する立ち回りと、追い風からマウントを取って対面で崩していく立ち回りの2つの立ち回りを実現するこの構築のスパイス的存在です。
弱体化こそ受けたものの特性の疾風の翼や元々の素早さの高さによる追い風の張りやすさ、耐久の低さと自傷ダメージによる追い風張った後の退場のしやすさが評価のポイント。
自主退場するのも役割ですし、素では微妙にもの足りない火力を補ってくれる命の珠をノータイム採用しました。
挑発は相手の追い風やトリックルームの妨害、相手のゼルネアスの妨害、自分のゼルネアスに吠えてくる相手の妨害のためなどに打ちます。
調整先
S: 最速カミツルギ抜き
ガオガエン@マゴのみ
慎重 / 200-135-114-90-154-78
特性: 威嚇
技: フレアドライブ / バークアウト / 猫騙し / 蜻蛉返り
配分: H236 B36 D236
Sの個体値を31にしていないのはSを下げつつ生意気個体を採用しないメリットがいくつかあるからです。
具体的には対カイオーガ構築において相手のガオガエンより後に蜻蛉返りをして天候合戦で優位に立つことができる、相手のガオガエンの蜻蛉返りから出てくる特殊アタッカーにバークアウトを入れられる、追い風下で準速ソルガレオより先に行動できるなどがあります。
環境にS無振りかSに振るガオガエンが多かったおかげで生意気の個体を使わずに慎重の個体を使っていながら狙い通り多くのガオガエンよりもあとに蜻蛉返りをしたり相手の蜻蛉返りで出てきた特殊アタッカーにバークアウトを入れられたりしました。
バークアウトはガオガエンのはたき落とすで倒せないナモの実持ちやシード持ちのルナアーラが増加していると感じ、はたき落とすを持つよりもルナアーラを削りつつ火力を下げるバークアウトを使った方がルナアーラに対して有効なメタになること、地味にキツいテテフなどの特殊アタッカーを弱体化させてゼルネアスの起点に変えられることなどを評価して採用しました。
今では信じられませんが当時はバークアウトガオガエンはメジャーではなく、早い段階で発掘できていて本当に良かったです。環境的にかなり強かったです。
調整先
D:C183ゼルネアスのC+2ムーンフォース確定耐え
S: 無振り60属-2
カミツルギ@突撃チョッキ
陽気 / 135-213-132-×-76-171
特性:ビーストブースト
技: リーフブレード / せいなるつるぎ / スマートホーン / はたきおとす
配分: H4 A92 B4 D196 S212
対ゼルネアスやカイオーガを意識して突撃チョッキを持たせて耐久調整を施しました。
サンシリーズでは使用率の高い一般ポケモン(カプ・コケコ、カプ・テテフ、ルンパッパ、ナットレイ、モロバレル、ツンデツンデ等)に対して非常に強く、伝説枠でもカイオーガ、ゼルネアスを始め様々なポケモンにも強い。
ビーストブーストでAが上がった際はさらに強力で一般枠でありながらも伝説並の勝ち筋形成力を持っていて頼れる1匹でした。
その強さ故にミラーが起きることも多いので最速での採用も考えておくべきだった。
調整先
A: 202 -115ゼルネアスを威嚇込みスマートホーンで確定2発
D: C183ゼルネアスのC+2ムーンフォース確定耐え
S: 最速ウツロイド抜き
モロバレル@オッカの実
生意気 / 219-×-100-105-137-31
技: 草結び / クリアスモッグ / キノコの胞子 / 怒りの粉
配分: H236 B76 D196
ゼルネガエンの並びの前で役割を遂行させるためオッカの実を持たせて採用しました。ガオガエンの前で突っ張りやすくなることからモロバレルの汎用性を上げる面でもオッカの実は効いてます。
ゼルネアスの護衛、対カイオーガ時のグラードンの引き先、相手のゼルネアスやカイオーガのストッパー役、トリックルームの妨害を任せます。
このルールは草ポケモンがそれなりに動きやすく、レヒレがいない環境かつコケコが出てきにくいグラードン構築内ではキノコの胞子が通りやすく強力です。
役割対象を考えると技はこの4つで完結してしまいます。他に欲しい技があっても採用するスペースがないです。
調整先
H: 再生力の効率最大3n
B: A233カミツルギのスマートホーン2耐え、C207ルナアーラのサイコショック高乱数耐え(93.8%)
D: C183ゼルネアスのC+2 ムーンフォース高乱数2耐え(93.4%)
その他: C183ゼルネアスのC+2 ムーンフォース+A135ガオガエンのフレアドライブをオッカ込み高乱数耐え(188~221ダメージ)
【4.後書き】
サンシリーズはカイオーガが環境トップに存在しており、INCまでグラードン構築はそれほど発展していないようではありましたが蓋を開けてみると上位者の多くがグラードン入りを握っていました。
カイオーガがトップに君臨し全人類がカイオーガ構築を握るようになった結果、カイオーガ構築に厚くしたグラードン構築がミラーを避けながらカイオーガを一方的に狩る結果になり、水面下で着実に進んでいたメタゲームの推移を感じました。
自身がグラードン入り構築を握るようになったのは感覚的にカイオーガ構築よりも馴染むからといったものなので環境に刺さっていたのは全くの偶然ではありますが、この時の結果はじっくりと構築を煮詰め、プレイングを磨いていた成果ではあるので素直に嬉しかったです。
今年のVGC2019を真剣に取り組んで確実に立ち回り、構築への理解力が高まったので来年のVGC2020ではこの経験を活かして世界へ挑戦していけたらと思っています。